中国政府は、今秋に新たな国家気候行動計画(NDC)を発表する方針を欧州連合(EU)側に伝えた。EUのテレサ・リベラ欧州委員会副委員長(クリーン移行担当)が7月15日に明らかにしたと、ロイターなど複数のメディアが報じた。
両者は今年2月に設定された国連への新目標提出期限をともに見送っていたが、今回の動きは遅れを挽回する意図がある。
中国とEUはそれぞれ2035年までの温室効果ガス(GHG)削減目標を提出することが求められており、これは世界的な気温上昇を抑制するための進捗評価に使われる。
こうした中、中国はCO2の回収・利用・貯留(CCUS)技術における国際連携を主導する新組織「国際CCUS技術革新・協力機構(ICTO)」を7月11日に正式に設立した。中国石油化工集団(Sinopec、中国石化)が主導し、中国科学技術協会(CAST)が支援する形で、北京で発足式が行われた。
ICTOには12か国、4大陸から90名以上の代表が集まり、50を超える企業・研究機関・業界団体・専門家が加盟。初代代表には、中国工程院の院士でSinopec会長の馬永生(Ma Yongsheng)氏が選出された。馬氏は「ICTOの設立は気候変動対策への国際社会の確固たるコミットメントを示すものであり、実質的な行動の宣言でもある」と述べた。
CCUSは大規模な排出削減策として注目されており、国際的な気候モデルでは、2050年までにネットゼロを達成するために必要な累積排出削減の約15%を担う技術と位置付けられている。ただし、その実現にはCCUSの導入規模を現状の100倍以上に拡大する必要がある。
Sinopecは2012年に中国初のCCUSプロジェクト(勝利油田)を開始し、2015年にはCO2資源管理の全社統合を完了。2022年には中国初の商業用メガトン級CCUS事業を稼働させ、2023年には初の長距離CO2パイプラインも完成させた。今回のICTO設立は、こうした実績を背景に、中国が世界のCCUS技術革新と知見共有の中心地となることを目指すものだ。
中国は今秋に発表予定の新たな気候目標で、CCUSの拡大をどのように位置付けるかが注目される。国際協力を加速しながら、自国の排出削減目標をどこまで引き上げるかが、次の焦点となる。