NAACP、イーロンマスクのxAIデータセンターからの大気汚染を提訴

村山 大翔

村山 大翔

「NAACP、イーロンマスクのxAIデータセンターからの大気汚染を提訴」のアイキャッチ画像

全米黒人地位向上協会(National Association for the Advancement of Colored People, NAACP)は17日、イーロン・マスク氏が設立した人工知能(AI)企業xAIが、テネシー州メンフィス南部で運営するデータセンターでメタンガスタービンを無許可のまま稼働させたとして、60日後をめどに米連邦地裁へ提訴する方針を示す通知書を送付した。代理人は環境NPOのSELCが務める。

通知書によれば、xAIは電力需要を賄うため35基のタービンを設置し、その大半を4月時点で稼働させていたが連邦大気浄化法(Clean Air Act)に基づく許可も「最良可用制御装置(BACT)」も取得していない。SELCのパトリック・アンダーソン上級弁護士は「メンフィスの家族の健康を脅かす違法行為だ」と指摘した。

データセンターが立地するボックスタウン周辺は住民の75%超が黒人で、工場や石油精製所が密集する地域と重なる。米肺協会の2025年報告ではメンフィス都市圏のオゾン汚染評価は5年連続「F」となり、癌リスクは全米平均の4倍に達するとの試算もある。NAACPのデリック・ジョンソン総裁は「億万長者企業が黒人コミュニティを犠牲にしても逃げ切れると思うなら大間違いだ」と語った。

一方、xAI広報は「仮設電源ユニットはすべて適用法令を順守して運転している」とコメントし、許可なし運転を否定した。

タービン35基の総発電能力は推定140メガワット。二酸化窒素(NO2)排出量は年間約1,100トンに相当し、メンフィス都市圏のNOx総排出量の14%を占める可能性がある(SELC試算)。

データセンターによる電力逼迫を受け、天然ガス依存の暫定供給を容認しており、再エネ導入の遅れが温床となっている。AI需要急増で米国のデータセンター電力消費は2024年比1.7倍に拡大する見通しだ。

参考:https://naacp.org/articles/elon-musks-xai-threatened-lawsuit-over-air-pollution-memphis-data-center-filed-behalf

参考:https://www.selc.org/press-release/elon-musks-xai-threatened-with-lawsuit-over-air-pollution-from-memphis-data-center/