6月19日、Puro.earthは、金融・科学の知見を活かした炭素除去(CDR)ポートフォリオ管理を手がけるCUR8と戦略提携を締結したと発表した。今後、Puro.earthの「オフテイク報告ツール」上で、CUR8の先払い型ファイナンス商品へ直接申請が可能となる。主力証書「CORC(CO2 Removal Certificate)」の将来的収益を前倒しで資金化することで、プロジェクト初期段階の資金不足という構造的課題に対応する。
Puro.earthとCUR8の新たな提携により、CDRプロジェクトが「CORC」発行前の段階から金融資源にアクセスできる体制が整う。対象となるのは、Puro.earthのプラットフォーム「MyPuro」上でオフテイク契約を報告した供給者。これらの契約情報をもとに、CUR8が金融審査を実施し、将来のカーボンクレジット収益を担保に前払い資金を提供する。
この提携は、初期資金の調達に難航するCDR業界の状況を反映したものだ。多くのプロジェクトは伝統的なプロジェクトファイナンスには時期尚早であり、VC(ベンチャーキャピタル)にも適さないリスク水準を抱える。さらに、大企業の前払い契約も希少かつ交渉コストが高く、成長のボトルネックとなっていた。
Puro.earthのCEOヤン=ウィレム・ボーデ氏は「科学的整合性と同時に金融イノベーションが必要だ。今回の提携で資金調達の摩擦を取り除き、実績あるCDR技術の市場展開を加速する」と強調した。
CUR8の共同創業者でCEOのマルタ・クルピンスカ氏も「CDR産業はスケールアップ段階にあり、資金アクセスが鍵だ。Puro.earthとの協業により、高品質な炭素除去を市場規模で実現する」と述べた。
今回連携するCUR8の「オフテイクファイナンス商品」は、2024年に英ブリティッシュ・エアウェイズとスタンダードチャータード銀行をパイロット企業として展開され、岩石風化(Enhanced Rock Weathering)による除去プロジェクトUNDOの4,000トン以上のCO2除去を前払いで支援した実績を持つ。
Puro.earthのCORCは、100年以上の耐久性をもつ炭素貯留に基づいた除去を対象とし、その科学的評価と検証プロセスは金融機関や購入企業からの信頼を得ている。特に、運転前または初回クレジット発行前のプロジェクトにとって、同社の認証取得は資金調達における信頼性のシグナルとして機能する。
今回の仕組みにより、対象となるCORCにはPuro.earthがリタイアメント手数料の免除措置も講じる。
参考:https://www.linkedin.com/posts/puro-earth_carbonremoval-cdr-climatefinance-activity-7341442153258147840-R7Ya