「カーボンクレジットの即時決済を実現」 ノーザン・トラスト、トークン資産と銀行接続を実証

村山 大翔

村山 大翔

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米金融大手ノーザン・トラストは7月14日、カーボンクレジットなどのトークン化資産を商業銀行口座で即時決済できる仕組みをオーストラリアで実証すると発表した。実験はオーストラリア準備銀行(RBA)とデジタル金融協同研究センター(DFCRC)が主導する「プロジェクト・アカシア」の一環で、国際送金大手スイフト(SWIFT)と連携する。

今回の実証では、ノーザン・トラストの「カーボン・エコシステム™」を使い、民間ブロックチェーン上でデジタル化したカーボンクレジットの発行・移転・決済を行う。トークン化したカーボンクレジットと法定通貨を同時に交換する「即時決済(DvP)」をスイフトの決済ネットワークと組み合わせて実現する。

同社デジタル資産担当責任者ジャスティン・チャップマン氏は、「トークン市場の発展には、従来の銀行インフラと新しいデジタル資産を結びつけることが重要だ。今回の実証で、すでにそれが可能であることを示したい」と述べた。

「カーボン・エコシステム™」は2024年に開始された新サービスで、カーボンクレジットの発行から取引、償却まで全てをデジタルで管理する。これにより、ボランタリーカーボンクレジット市場での取引が効率化され、透明性も向上する。

ノーザン・トラストは、シンガポールでグリーンボンド報告書のトークン化(プロジェクト・ガーディアン)、香港での越境カーボンクレジット取引(プロジェクト・アンセンブル)にも参加しており、アジア太平洋地域でのデジタル金融インフラ構築に積極的だ。

同社アジア太平洋責任者アンジェロ・カルビット氏は、「豪州は現実世界での金融実証実験を進める重要拠点だ。規制環境下で銀行とトークン資産をつなぐ今回の実証は、その先駆けになる」と話した。

スイフトのアジア太平洋最高責任者ケビン・ウォン氏も、「銀行とデジタル資産を結ぶことで、トークン化金融が世界に広がる基盤が整う」とコメントした。

プロジェクト・アカシアは、豪州における機関投資家向けトークン資産市場の開発を目的とし、2025年内に追加実証が予定されている。今後、国際的なカーボンクレジット取引のデジタル移行を加速させる可能性がある。

参考:https://www.northerntrust.com/united-states/pr/2025/northern-trust-advances-tokenized-finance-innovation-in-australia-through-project-acacia