6月25日、米ブーミトラ(Boomitra)は、イーサリアム気候プラットフォーム(ECP)および投資会社レストレーション・クライメート(Restoration Climate)と、過去最大規模となる土壌由来カーボンクレジット50万トンCO2分の供給契約を締結したと発表した。同社のメキシコ北部草原再生プロジェクトを通じ、今後5年間でカーボンクレジットを提供する。本契約は、AIとリモートセンシングを活用した「土壌炭素除去(CDR)」の市場拡大を象徴する出来事として注目される。
この取引は、ブーミトラが2023年にEarthshot Prizeを受賞した後の最大案件であり、イーサリアム気候プラットフォームおよびレストレーション・クライメートにとって初の土壌CDR投資となる。両社は既にメキシコ現地を訪問し、再生型放牧を通じて気候回復と生物多様性向上を目指すプロジェクトの実地調査を行った。
ブーミトラのアーディス・ムールティ最高経営責任者(CEO)は、「本契約は土壌炭素市場の成長を裏付けるものであり、途上国におけるスケール化可能なCDR手段としての土壌の可能性を示す」と語った。
同プロジェクトは、Verraにより正式登録された最初のAI・リモートセンシング技術採用型の土壌CDR案件であり、開始当初の150万エーカーから400万エーカーへと急速に拡大している。メキシコ北部のチワワ・ソノラ砂漠に広がる土地で、139人の牧場主と9つの現地パートナーが協力し、気候・経済の両面に貢献する再生型農業を推進する。
ブーミトラは現在、世界4大陸で15万人以上の農業従事者を支援し、累計1,000万トンのCO2を除去してきた。今回のプロジェクト単体でも、今後20年間で2,500万トン超のCO2除去が見込まれている。
イーサリアム気候プラットフォームのビル・ケントラップ社長は「AIと衛星データが土壌炭素の計測を革新し、再生可能性のスケール化を可能にしている。ブーミトラとの提携は、世界的な気候対策の前線に土壌を押し上げる重要な一歩だ」と述べた。
イーサリアム気候プラットフォームは、2022年にブロックチェーン基盤の「Merge」によって自身の排出量を99%削減したEthereumコミュニティが設立母体。高品質なCDRプロジェクトに投資を拡大している。
一方、レストレーション・クライメートは、気候変動を金融リスクと捉え、商品投資とAI分析を通じて自然資本市場の成長を加速させる企業。共同創業者のベネディクト・フォン・ビュトラー氏は「土壌CDRは過小評価されがちだが、農業と気候の両立を実証するブーミトラのモデルは、将来の主流となり得る」と指摘している。
参考:https://boomitra.com/boomitra-restoration-climate-ecp-soil/