中国発、TikTokを運営するテック大手バイトダンス(ByteDance)は、カーボンクレジット管理企業Rubicon Carbon(ルビコン・カーボン)から、同社の主力商品「Rubicon Carbon Tonne®(RCT)」を通じて10万トンCO2超のカーボンクレジットを購入した。
これは2030年までのカーボンニュートラル達成に向けた中核的な取り組みであり、高品質なカーボンクレジットを現行価格で確保することで、将来のコスト上昇や供給不安へのリスクを低減する狙いがある。
Rubicon Carbon Tonne®(RCT)は、自然由来の回避系クレジット、汚染物質削減、炭素除去(CDR)プロジェクトを含むグローバルなポートフォリオから厳選された高品質カーボンクレジットを束ねた商品で、ルビコン・カーボンの科学チームによる継続的なモニタリングと保証が付く。今回バイトダンスが取得したRCTには、即効性のある自然由来のカーボンクレジットと、長期的な炭素除去効果を持つCDRクレジットの両方が含まれる。
ルビコン・カーボンのCEOであるトム・モンタッグ氏は「バイトダンスの購入は、長期的な気候リーダーシップの表明であり、高品質で持続可能なカーボンソリューションに対する強い支持を示している」と述べた。
バイトダンスは2030年までに事業活動由来の排出量を90%削減し、残る10%をカーボンクレジットで相殺する計画を掲げる。同社グローバル・サステナビリティ責任者のイアン・ギル氏は「ルビコン・カーボンの支援により、価値あるカーボンクレジット選定が可能になった。今後も長期的なパートナーシップを築いていきたい」と語った。
ルビコン・カーボンは、TPGライズ・クライメート(TPG Rise Climate)の出資を受け、ファイナンス、テック、気候科学の分野から集まった幹部陣により運営されている。同社のポートフォリオ構造に基づく提供モデルは、環境完全性の高いカーボンクレジット提供で信頼を集めている。
今回の契約は、企業が自社の削減努力と補完的に高品質な炭素除去策を講じる動きの一例であり、カーボンクレジット市場における「質重視」へのシフトを象徴する事例といえる。