米国発のブロックチェーン企業INTELET(インテレット)は10月20日、日本製鉄および立神鐵工所とスマートトイレ事業における製造パートナー契約を締結したと発表した。インテレットの日本法人であるインテレットジャパンが国内展開と技術支援を担う。今回の提携は、ブロックチェーン技術を活用して廃棄物を資源化し、カーボンクレジットを創出する「Toilet-to-Earn」モデルの社会実装を加速させる狙いがある。
インテレットは、排泄物を処理・再利用して液体肥料を生成し、同時にカーボンクレジットを発行するスマートトイレを開発している。このプロジェクトでは、利用者がトイレ使用によって報酬を得るトークン経済圏を形成する「Toilet-to-Earn」モデルを採用している。
今回、日本製鉄および立神鐵工所との協業により、スマートトイレの筐体や流体処理ユニットの製造品質を日本の精密基準で確保。量産体制を整備することで、インテレットはアジアを中心に国際展開を加速させる。グループパートナーであるアラブ首長国連邦のEtarn(Carbon Earn Coretech FZco)は、「ブロックチェーン×リアルインフラ」というコンセプトのもと、排泄物の再資源化とカーボンクレジット創出の両立を目指す。
インテレットの「Toilet-to-Earn」システムでは、廃棄物の処理過程で発生する温室効果ガス排出をリアルタイムでモニタリングし、削減分をブロックチェーン上に記録する。これにより、トイレ利用や廃棄物再利用の各プロセスを通じて得られる炭素削減効果を、透明性の高い形でカーボンクレジットとして発行できる。
インテレットジャパンは、「製造・物流・カーボンオフセットをブロックチェーン上で可視化することで、透明性と持続可能性を両立する循環型経済モデルを実現する」と述べている。これにより、開発途上国の衛生インフラ整備と同時に、気候変動対策としての炭素除去(CDR)プロジェクトへの応用が期待される。
日本製鉄は2025年、米国のU.S.スチールを買収し、世界的な素材産業のリーダーとして地位を確立した。同社がインテレットのプロジェクトに参画することで、製造品質と国際基準の信頼性が担保される。さらに、立神鐵工所の精密加工技術が組み合わさることで、スマートトイレの量産・耐久性・環境対応性能が強化される見通しだ。
インテレットジャパンのチームは、「世界的リーダーである日本製鉄の参画は、INTELETとEtarnのプロジェクトが“本物で、持続可能で、世界水準”であることを示す重要な一歩だ」とコメントしている。
インテレットは今後、日本国内での製造拠点整備と技術支援体制を強化し、インドなど新興国での展開を本格化させる。廃棄物から肥料やカーボンクレジットを生み出すこのモデルは、環境改善だけでなく、地域住民に新たな収入機会を提供することで「経済的包摂(インクルージョン)」の促進にもつながる。
同社は、「廃棄物を価値へと変える社会的イノベーションを通じて、持続可能な未来を創出する」としており、2026年以降の国際CDRクレジット市場への参入も視野に入れている。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000171446.html