カーボンクレジット市場の取引プラットフォームを運営するCEEZER(シーザー)は、炭素除去(CDR)技術の支援プログラム「カーボン・コーリション(Carbon Coalition)」の第3期を修了した7社を発表した。これらのスタートアップは、2030年までに約250万トンの二酸化炭素(CO2)を恒久的に除去する計画だ。
このプログラムは、スタートアップが市場に参入しやすくすることを目的に、専門家による個別指導や、業界パートナーとのセッションを通じて、商業化までの道のりをサポートする。
多様なCDR技術で挑む7社
第3期の参加企業は、世界35カ国から65件以上の応募の中から選ばれた。バイオマスの化石化、廃棄物の資源化、バイオ炭の生産、海洋による炭素貯留、鉱物を使った土壌改良など、技術は多岐にわたる。
- Blue Lotus Solution(インド)
- バイオマス廃棄物を人工的に化石化し、長期的な炭素貯留を実現。
- Neolithe(フランス)
- 再利用できない廃棄物を「アンソロポサイト」という建材に変え、石材の代替品として利用。
- Circular Impact(ケニア)
- サトウキビの搾りかすをバイオ炭にして有機肥料と混ぜ、土壌改良。
- Sinkco Labs(米国)
- 海底にCO2を貯留しつつ、沿岸の環境保護も実現。
- Stack Carbon(ウガンダ)
- 天然鉱物の力を使い、CO2を土壌中に固定。
- HyveGeo(英国・UAE)
- 農業残渣をバイオ炭に加工し、砂漠の土を耕作地に再生。
- Releaf Earth(ナイジェリア)
- ナッツ殻の廃棄物からバイオ炭を作り、小規模農家の収量アップと炭素除去を両立。
「0.75百万トン vs 10ギガトン」 市場拡大は急務
現在、世界のCDR市場では、2025年第2四半期時点で約75万トンのCO2しか除去されていない。2050年までに10ギガトンの削減を目標とする中で、大きなギャップがある。今回の7社は、その課題に向き合い、多様な方法で炭素除去を推進する。
7社のプロジェクトは、CEEZERのプラットフォーム上で「プレビュー」として掲載されており、企業バイヤーは早期投資の機会を得られる。今後、認証プログラム(Puro、Carbon Standard International、Isometric、Rainbow Standard)での登録とリスク審査を経て、正式な取引対象となる。
プログラムでは、カーボンクレジット市場の理解を深めるため、以下のようなセッションが行われた。
- バイヤーの行動分析と購入戦略
- 認証基準と市場ニーズのすり合わせ
- 政策やパートナーシップの重要性
- MRV(測定・報告・検証)の基礎
Sinkco Labsのハミルトン・ハーラー氏は「市場動向を正しく理解でき、戦略を明確にできた」と語った。
Circular Impactのハルーン・ダウード氏も「ネットワークと知見を得て、バイオ炭事業の拡大に自信がついた」とコメントしている。
第4期の「カーボン・コーリション」プログラムは、2026年初頭に募集を開始する予定だ。詳細は年内に発表される。