全国でタクシー事業を展開するMKグループは20日、電気自動車(EV)の貸切および空港定額サービス利用時に追加料金で実質CO2排出量をゼロにできる「カーボンニュートラルオプション」の2025年度上半期実績を発表した。利用件数は27件、CO2換算で115キログラムをオフセットし、前期比で2倍以上の伸びを記録した。EV移行と並行して、利用者側の脱炭素行動への関心の高まりが浮き彫りとなった。
MKグループは、電気自動車(EV)充電時に発生するCO2排出を「J-クレジット制度」によってカーボンオフセットし、走行分を含めた移動全体を実質ゼロ排出にする仕組みを導入している。
ガソリン車に比べてEVは約6割のCO2を削減できるが、充電に伴う残り4割の排出が課題となる。同社はこの「残余排出分」をカーボンクレジットによって相殺し、カーボンニュートラル移動を実現している。
同サービスは2025年1月に京都で貸切利用を対象に開始。4月には滋賀、札幌、名古屋にも拡大し、空港定額便にも適用を広げた。利用料金は1回1台あたり100円で、カーボンオフセットに用いられたカーボンクレジットの「無効化通知書」は公式サイトで公開されている。
上半期の27件(総走行距離1,452km)の内訳は、京都エムケイ25件、滋賀エムケイ2件。前年下期(4件)から大幅に増加し、EV利用者による自主的な脱炭素支援が浸透しつつあることを示した。CO2排出量の算出には、電費5.5km/kWh、1kWhあたり0.434kgの排出係数を使用している。
同社は2030年までに全車両をゼロエミッション・ビークルに切り替える方針を掲げる。2025年3月末時点で、京都エムケイのZEV保有率は27%(223台)に達しており、全体ではグループ計で400台超を導入済み。2021年に国内タクシー業界で初めて全車ZEV化方針を公表して以降、脱炭素経営の象徴的存在として注目されている。
エムケイホールディングスの広報担当者は「利用者自身がわずか100円でカーボンニュートラルを選択できる点が支持されている。地域単位でのCO2削減意識の高まりが数字に表れた」とコメントした。
MKグループは、京都を拠点に全国9都市でタクシーやハイヤー、観光バス、燃料供給事業などを展開。今後も「走る脱炭素インフラ」として、再エネ電力の活用や地域クレジットの導入などを検討している。2030年に向け、地域交通のゼロエミッション化が加速しそうだ。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000051512.html