「デンマーク北海でCO2貯留拡大」 INEOS Energy、Score Groupに主要バルブ供給契約 欧州CDRインフラを強化

村山 大翔

村山 大翔

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英スコア・グループ(Score Group)は10月14日、英エネルギー大手イネオス・エナジー(INEOS Energy)から炭素回収・貯留(CCS)プロジェクト「プロジェクト・グリーンサンド(Project Greensand)」向けに、主要機器供給契約を獲得したと発表した。欧州の脱炭素インフラ整備で同社の存在感が一段と高まる形だ。

新契約に基づき、スコアはデンマーク北海の洋上貯留施設向けに、耐久性と安全性を重視した480基の手動および自動バルブを供給する。数カ月にわたるイネオス技術陣との共同設計を経て、過酷な海洋環境下でも長期運用可能な仕様とした。

プロジェクト・グリーンサンドは、デンマークおよび欧州連合(EU)の気候戦略の中核を担うCCS案件で、年間40万トンのCO2恒久貯留を開始目標としている。2030年までに年間800万トンへの拡張が計画されており、欧州の炭素除去(CDR)実装を大きく前進させる。今回の契約は、スコア社が欧州の排出削減インフラにおける重要プレーヤーとしての地位を確立するものとなった。

さらに同社は、イネオスの洋上資産、デンマーク電力大手オーステッド(Ørsted)のナイブロガス処理施設、国営エネルギー企業エネルギネット(Energinet)のガス貯蔵拠点(リレ・トルプおよびステンリレ)を対象に、漏洩検知・修復(LDAR)サービスの包括契約も獲得した。これらは、産業資産に対して厳格なメタン排出監視を義務づけるEU規則2024/1787への対応を目的としている。

スコアは、長年の協業先である英アセット55(asset55)と連携し、デジタルデータ統合による監視精度の向上を図る。アセット55の「オペレート(Operate)」プラットフォームを活用し、排出データや点検記録をリアルタイムで可視化することで、透明性の高い報告体制を整備する。

スコア欧州・アフリカ事業部ディレクターのスコット・ウィル氏は「今回の契約は商業的成果を超え、技術協働と環境責任、長期的パートナーシップへの取り組みを示すものだ」と述べ、「欧州全体の脱炭素化を支援し、排出削減サービスを拡大する重要な一歩となる」と強調した。

参考:https://greensandfuture.com/news/ineos-and-royal-wagenborg-launch-the-first-european-built-offshore-co2-carrier-fo