イスラエルのスタートアップのカーボンブルー(CarbonBlue)は7月15日、「淡水化施設と一体型のCO2除去システム」を世界で初めて実用化したと発表した。新技術は、同国マガン・ミカエルの淡水化プラントに導入され、水をきれいにしながら大気中のCO2も同時に回収できる。運転コストの削減や設備の長寿命化にもつながるとして、米国での商用展開が期待されている。
カーボンブルーの技術は、水中に含まれるCO2を石灰と反応させ、高品質な炭酸カルシウム(PCC)として回収する仕組みだ。PCCは製紙やプラスチックなど多くの産業で使われている。処理後の水は再びCO2を吸収するため、実質的に「大気からのCO2除去」と同じ効果がある。
今回の実証では、プラントの水取り込みの10%を処理し、年間約40トンのCO2を除去する。将来的には全量処理で年間400トン以上、さらに複数施設を組み合わせて年間数百万トン規模の除去を目指す。
「水からCO2を取る方が、空気から取るより効率的だと気づいた」と、カーボンブルーのCEO、ダン・デヴィリ氏は語る。水は大気よりも100倍以上高濃度のCO2を含んでいるためだ。
この技術は、淡水化プラントだけでなく、発電所や工場の冷却設備など「水を使う産業」ならどこでも使える。特に米国では、CO2削減とコスト削減を同時に実現できる点が評価され、導入を検討する企業が増えている。
カーボンブルーの技術は、CDR市場の成長を支える新しい選択肢になる可能性がある。