牛12,000頭分のメタンを削減 Green Carbon、雪印、北海道銀行が家畜由来J-クレジット創出共同プロジェクトを始動

村山 大翔

村山 大翔

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国内最大規模・酪農分野でのJ-クレジット創出がスタート

Green Carbon株式会社は、雪印メグミルク株式会社および株式会社北海道銀行と連携し、家畜の排せつ物を活用したJ-クレジット創出プロジェクトを開始した。北海道を舞台に、今後8年間で約11,500トンのCO2削減を見込む。これは牛12,000頭分、酪農分野としては国内過去最大の排出削減量となる。

この取り組みで用いられるのは、「家畜排せつ物管理方法の変更(AG-002)」という新たなJ-クレジット方法論だ。強制発酵装置を導入し、従来半年かかっていた堆肥発酵を効率化。CH4やN2Oなどの温室効果ガスの排出を大幅に抑制できる。

酪農が抱える3つの課題とJ-クレジットの可能性

畜産業界には以下のような構造的課題が存在する。

  1. GHG排出量の多さ乳牛1頭あたり年間約5tもの温室効果ガスを排出。畜産業全体では年間約1,500万tとされ、日本の排出量の約3.7%を占める。
  2. 飼料高騰と経営難飼料価格は過去16年間で2倍以上に上昇。酪農家の経営圧迫が続き、15年で農家戸数が半減するなど深刻な状況。
  3. 悪臭などの社会的課題飼育頭数が多い酪農施設では近隣住民との摩擦も課題に。苦情件数は増加傾向にある。

これらに対し、今回のプロジェクトではJ-クレジット販売による副収入や設備費用支援、発酵による臭気低減といった多面的なソリューションを提供する。

地産地消型クレジットが地域経済も変える

この酪農プロジェクトは、Green Carbonが構築する「ネイチャーベースコンソーシアム」の一環だ。地域で創出されたクレジットを地元企業が購入する“地産地消型カーボンクレジット”モデルにより、地域内で経済と環境価値の循環が生まれる。

このコンソーシアムは2025年までに50万トンのクレジット創出を目指しており、これは北海道農業で使用される燃料起因の排出全量に相当する規模だ。

参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000158.000117956.html