カーボンクレジット認証大手Verraは、国際航空の温室効果ガス削減制度CORSIA向けのカーボンクレジットについて、新たな保険基準を公表した。2021年以降に発行されたカーボンクレジットが対象で、ホスト国と航空会社が同じ削減量を「二重に計上」するリスクを保険でカバーする。
この新ルールにより、VerraのVCSプログラムで「CORSIAラベル」を取得するには、次の条件を満たす必要がある。
- パリ協定第6条に基づき、ホスト国がクレジットの使用を正式に認めた「Article 6ラベル」を取得する。
- または、二重計上のリスクを補償する保険に加入し、ヴェラが認める「CORSIAアカウンティング表明(今後公開予定)」を提出する。
Verraは今後、保険専門家を起用し、各保険商品の適格性を審査する。その後、承認された保険商品のリストを公開する予定だ。この基準は今後の審査を経て、内容が更新される可能性もある。
今回の発表は、カーボンクレジット市場の信頼性向上を目指すヴェラの取り組みの一つだ。CORSIA制度では、国際線の排出増加分を航空会社がオフセットするため、クレジットの需要が急速に拡大している。しかし、削減分を「ホスト国と航空会社が二重に計上してしまうリスク」が長年の課題だった。
保険を活用することで、航空会社はこうしたリスクを避けつつクレジットを使えるようになる。これは、国の温室効果ガス会計にも影響を与えず、市場の透明性や信頼性を高める効果がある。
日本の航空会社や商社も、CORSIA対応や自主的な炭素市場でクレジットを調達する際の「リスク管理ツール」として、保険商品の動向に注目する必要がある。
Verraは年内にも、実際に使える保険商品のリストを発表する予定だ。
参考:https://verra.org/verra-releases-criteria-for-insurance-products-for-corsia-eligible-carbon-credits/