ドイツの炭素除去(CDR)スタートアップ、ウカネオ(Ucaneo)は10月、ベルリン投資銀行(Investitionsbank Berlin、IBB)の助成・融資混合制度「ProFIT」から140万ユーロ(約2億2,000万円)の資金を獲得したと発表した。このプログラムは欧州連合(EU)の共同資金により運営されており、同社にとって初の実証プラント開発を加速させる狙いがある。
今回の資金は、ウカネオが開発する電気化学式直接空気回収(DAC)技術の実証設備建設に充てられる。ベルリン東部マルツァーン地区に建設される施設は2026年に稼働予定で、年間約150トンの二酸化炭素(CO2)を大気から直接回収する見通しだ。これは欧州最大規模の電気化学DAC実証プラントの一つとなる。
同社は、このプラントを基盤として技術のスケールアップを段階的に進める計画を示しており、回収量を100トン、1,000トン、さらには10万トン規模へと拡大する構想を掲げている。最終的にはギガトン(10億トン)単位の炭素除去を目指す。
ウカネオは「IBBの信頼と支援に感謝している。ベルリンからCDRの革新を進められることを誇りに思う」と述べている。
欧州では、DACやCDR技術への支援が強化されており、EUは気候中立目標の達成に向け、2030年までに数百万トン規模のCDR導入を視野に入れている。ウカネオの実証プロジェクトは、その重要な一歩として位置づけられる。