GCCが初の「dMRVソリューション提供者承認手続き」を正式化 ボランタリー市場におけるデジタル計測・検証統合の新基準

村山 大翔

村山 大翔

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カタールを拠点とするグローバル・カーボン・カウンシル(GCC)は9月1日、カーボンクレジットの国際ボランタリー市場(VCM)で初めて、デジタル測定・報告・検証(dMRV)ソリューション提供者の正式な承認ルートを定めた「承認手続き(Version 1.0)」を発効した。これにより、GCC標準のプロジェクト・ワークフローにdMRVベースの案件を直接統合できる体制が整い、炭素市場のデジタル化に向けた画期的な一歩となる。

従来のVCMでは、プロジェクトのモニタリングや検証が煩雑で、手続き遅延やデータ欠損が課題だった。GCCは今回の制度導入により、DMRV技術を用いたリアルタイムのデータ取得と、関係者間での可視化・追跡を可能にする。これにより、プロジェクト開発者やクレジット購入者に対し、改ざん防止された信頼性の高い情報を提供できるようになる。

GCCは声明で、「dMRVの完全統合は、炭素市場における信頼性とスピードの両立を実現するものだ」と強調した。

承認申請は2つのルートで受け付ける。

  1. トラック01(GCCプロジェクト連携型):GCCの認定手法を用いたdMRVプロジェクトで能力を実証する。
  2. トラック02(独立型ソリューション提供者):GCC外の関連プロジェクトで、該当セクターのDMRV能力を証明する。

申請対象は、温室効果ガス(GHG)セクターに対応した7つのdMRV分野で構成される。申請には、データ取得装置や転送プロトコル、暗号化・バックアップ体制、リスク管理、法規制遵守、インシデント対応体制など、詳細な技術情報の提出が求められる。

提出後、GCCのdMRV専門審査チームが審査を行い、ライブデモ実施や評価料の支払いが必要となる。申請者は最大3回まで再提出が可能で、承認の有効期間は3年間。更新時には再申請が必要となる。承認後の提供者はGCCのポータル上で公開され、パフォーマンス監視やスポットチェックも実施される。

この制度化により、プロジェクト開発者は事前承認済みのdMRV提供者リストを活用でき、検証工程の効率化とカーボンクレジット発行の迅速化が見込まれる。
また、リアルタイムで改ざん防止されたデータにより、第三者に対しても高い透明性を担保できる。これにより、カーボンクレジット購入者や投資家からの信頼が強化され、VCM全体の信用性が高まると期待されている。

GCCは「次世代dMRVの普及を通じ、炭素市場の成長と信頼性の向上を加速させる」としており、今後の市場標準化に向けたリーダーシップを明確にした。

参考:https://globalcarboncouncil.com/first-in-vcm-gcc-formalizes-dmrv-solution-provider-approval-procedure/