ラグジュアリー古着のリセールプラットフォーム、ヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)は10月2日、循環型ファッションによるCO2削減効果を定量化した初の「カーボンクレジット」発行事業を正式に開始した。中古ファッションの購入が新品購入を置き換えることで回避された排出量を測定し、1トンのCO2削減・除去ごとに1クレジットを発行する仕組みだ。
この新制度は、独立機関イヌク(Inuk)によって開発され、第三者認証機関アンスペック(AmSpec)により検証された方法論に基づく。発行されたクレジットは市場で取引可能で、ファッション業界における脱炭素化資金の新たな調達手段となる。1トン当たり34ユーロ(約5,400円)で提供され、総量約5万トン分のクレジットが発行可能とされている。
同社は、すべての出品商品を専門チームが審査し、真贋判定と品質検査を経て再販している。これにより、リユース品が確実に新品購入を代替することを担保し、実質的なCO2削減効果を生み出している。年間で約2万5,000トンの排出削減に相当し、これはフランス国内の約2,500人分の年間排出量に匹敵する。
ヴェスティエール・コレクティブは2009年に設立され、現在は世界最大級の高級中古品マーケットプレイスの一つである。2020年以降、全社的な脱炭素経営を進めており、2021年から毎年カーボンフットプリントを公表している。今回のカーボンクレジット発行は、再販という行為自体を「排出削減アクション」として正当に評価する試みであり、テキスタイル業界全体の脱炭素化を後押しする新たな一歩となる。
循環型モデルを通じた排出削減の「可視化」は、サプライチェーンの外側にある消費者行動まで脱炭素の文脈に取り込む新しい試みだ。ファッションの「再販」が今後、どのようにボランタリーカーボンクレジット市場の中で評価されていくかが注目される。