ケニアのクリーン調理機器メーカーであるバーン(BURN)は9月25日、タンザニアで展開するバイオマス炭素プロジェクトが、ESG評価大手のMSCIエスジーリサーチ(MSCI ESG Research LLC)から最高水準となる「A」評価を取得したと発表した。BURNは炭素プロジェクト開発とクリーン調理器具製造を手がける企業で、今回の評価はその高い透明性と環境効果を国際的に裏付けるものとなった。
MSCIは、追加性、定量性、永続性、共便益、評判リスク、供給リスクの6基準でBURNのプロジェクトを分析。「長期的な信頼性と実効性が際立つ」と評価した。MSCIのカーボンプロジェクト・レーティングは、世界中の企業・投資家・プロジェクト開発者が参照するベンチマークであり、信頼性の高いカーボンクレジット投資判断の指標とされる。
バーンの最高商務責任者クリス・マッキニー氏は「MSCIで高評価を得たこと、さらに『Environmental Finance Awards 2025』でエネルギー効率部門の最優秀プロジェクト開発者次点に選ばれたことは、私たちのプロジェクトの信頼性と社会的影響力を改めて証明するものだ」と述べた。さらに「カーボンクレジットとそのプレファイナンス(事前資金調達)を通じて、タンザニア全世帯にクリーンな調理器具を提供できるよう、価格を60〜100%引き下げることを目指す」と語った。
同社は過去5年間で約19万9,000台の省エネ調理器具をタンザニア国内で普及させ、約90万人の生活に影響を与えた。各調理器具は年間約3.5トンのCO2排出を削減し、燃料消費を40〜60%抑制することで、1世帯あたり年間約119ドル(約1万8,000円)を節約しているという。
BURNは現在、タンザニアで約900人を雇用し、月6,000台の調理器具を生産。これまでに約23万世帯へ供給し、100万トンの薪材削減と70万トンのCO2排出回避を達成。さらに約4,260万ドル(約66億円)の家庭燃料費節約と1億3,600万時間の炊事時間短縮をもたらした。同社は今後、国内600万世帯への普及を目標に掲げている。
BURNのタンザニア・バイオマスプロジェクトは、ICVCMが承認するGold StandardのTPDDTEC手法を採用。現場での「キッチン・パフォーマンス・テスト(KPT)」など厳格なモニタリングを実施し、定量的かつ検証可能な削減効果を確保している。
同社の他国プロジェクトでも、ソマリア・ケニア・コートジボワールで「BBB」評価、ケニア国内の複数プロジェクトで「BB」評価を獲得しており、アフリカ全域で一貫した高品質のCO2削減事業を展開している。
バーンはこれまでにアフリカ全土で約540万台のバイオマス、LPG、電気調理器を販売し、約2,800万人の生活改善に貢献。これにより、家庭燃料費総額で約18億ドル(約2,790億円)を削減し、森林伐採防止と室内空気汚染の65〜100%削減を実現している。