欧州を拠点に土壌炭素の直接測定を手がけるアグリカーボン(Agricarbon)は9月下旬、カーボンクレジット認証機関のVerraが「AgreenaCarbon Project」の検証を完了したと発表した。大規模な耕作農地を対象にしたプロジェクトとしては初めての検証事例であり、再生型農業を通じた炭素除去(CDR)の信頼性向上にとって重要な節目となる。今回の認証により、230万トンのカーボンクレジットが発行される見通しだ。
アグリカーボンは過去4年間、欧州各地で異なる気候・地質・地形条件の下、農地の土壌サンプリングと分析を実施してきた。これにより、土壌炭素隔離量を現場レベルで裏付ける「グラウンドトゥルース」データを提供し、VerraのVCS要件、特に厳格な土壌炭素測定手法を規定するVM0042に対応した。
アグリカーボンのハリー・カミラリス博士は「アグリーナを支援した土壌炭素分析は、Verra認証の達成に欠かせない要素だ。モデル計算だけでなく、物理的な土壌サンプルと分析結果で裏付けたことにより、測定値の信頼性が担保された」と述べた。
同社は工業化されたプロセスとラボ分析により、大規模で効率的な土壌炭素測定を可能にしており、農家にとって利用しやすく、アグリーナにとっても拡張性のあるVCU発行を実現している。これにより農業現場での土壌炭素隔離をグローバル規模で可視化し、土壌健全性の改善にも貢献している。
今回の検証は、再生型農業の経済的持続可能性を支えるだけでなく、今後数百万ヘクタール規模での炭素隔離プロジェクト展開を後押しすることが期待される。農業由来のカーボンクレジット市場の成長を受け、各国の政策形成や企業のネットゼロ戦略にも影響を与える可能性がある。
参考:https://www.agricarbon.co.uk/verra-mileston-support/