オランダで進行中の大規模な炭素回収・貯留(CCS)プロジェクト「ポルトス(Porthos)」において、海底パイプラインの敷設が完了した。施工を担当したエネルギー企業オールシーズ(Allseas)が7月23日、明らかにした。EU内で初めて本格稼働を目指すCCS事業の中核インフラであり、脱炭素化に向けた大きな節目となる。
このパイプラインは、ロッテルダム港にある複数の工場から回収されたCO2を、北海の枯れた天然ガス田(海岸から約20キロ、海底3,000メートル超)へと輸送するもの。今後、CO2はこの貯留層に永久的に閉じ込められる。
パイプの長さは約20キロメートル。Allseasは、敷設から海底への埋設、断熱・コンクリート加工、試運転までを一括で担当した。施工には「Lorelay(ロレライ)」という専用船を使い、5月には装置トラブルで一時中断したものの、7月に作業を再開し、予定通りに完了した。
現在は、パイプを海底にしっかり埋め込む「トレンチング」作業が進められており、波や潮流によるダメージから保護し、長期的な安定性を確保する。
ポルトス計画は、オランダ国営エネルギー会社のEBN(EBN B.V.)、ガスインフラ企業のガスニー(N.V. Nederlandse Gasunie)、ロッテルダム港湾局(Port of Rotterdam Authority)の3者による共同プロジェクト。2023年10月に最終投資が決まり、MANエナジー・ソリューションズ(MAN Energy Solutions)が圧縮機、KCI(KCI The Engineers B.V.)が海上プラットフォーム改修、エクスプロ(Expro Group)が鋼管の運搬と挿入を担当している。
この取り組みにより、ロッテルダム港のCO2排出量の約10%、オランダ全体の産業由来の排出量の約17%が削減される見込みだ。
CO2の注入開始は2026年を予定しており、欧州でのCCS拡大に向けた重要な試金石となる。
参考:https://www.porthosco2.nl/en/allseas-resumes-pipelay-operations-for-porthos-project/
参考:https://www.porthosco2.nl/en/offshore-pipeline-laid-on-the-north-sea-bed/