バイエルクロップサイエンス株式会社は9月29日、水稲栽培で中干し期間を延長する際の、雑草防除を最適化する「水田雑草 テーラーメイド防除®」を活用し、新潟県内で創出されたカーボンクレジット(J-クレジット)を購入したと発表した。同社にとって国内でのカーボンクレジット購入は初めてであり、農業分野における脱炭素化を推進する具体的な一歩と位置づけている。
農林水産省によれば、日本のメタン排出量の約4割は水田由来であり、その削減は重要な課題とされている。特に中干し期間を7日間延長することで、メタン排出量を約3割削減できることが確認されており、J-クレジット制度の認証方法論として採用されている。今回の取り組みは、同制度を通じた削減効果を具現化したものとなる。
バイエルは、三菱商事および営農支援アプリ「アグリノート」を展開するウォーターセルと連携し、新潟県内の生産者による中干し期間延長を支援した。その過程で「水田雑草 テーラーメイド防除®」を中心とする雑草管理手法を導入し、延長に伴う雑草発生リスクを低減させた。
バイエル代表取締役社長の大島氏は「収益性強化と脱炭素を両立する一気通貫したソリューションを提供できることを嬉しく思う。今回のクレジット購入は持続可能な農業実現に向けた重要なステップだ」と述べた。
今後も同社は、農業分野の温室効果ガス削減と収益性向上の両立を目指し、「水田雑草テーラーメイド防除®」を軸としたソリューション開発を継続するとしている。日本の水田由来メタン排出削減が国際的な気候変動対策の焦点となる中、農業由来のカーボンクレジット市場拡大に弾みをつける可能性がある。
参考:https://cropscience.bayer.jp/ja/home/news/detail/news150.php