カナダで年間1,500トンCO2回収のDAC実証へ GE VernovaとDeep Skyが提携

村山 大翔

村山 大翔

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米エネルギー大手GEヴェルノヴァ(GE Vernova)は9月24日、カナダの炭素除去(CDR)プロジェクト開発企業ディープ・スカイ(Deep Sky)と提携し、同社の直接空気回収(DAC)技術をアルバータ州イニスフェイルにある「Deep Sky Alpha」拠点に導入すると発表した。年間1,500トンのCO2を回収できる能力を持ち、2026年末までの稼働開始を予定している。

同施設は2025年8月に稼働した世界初の「複数技術を同一条件で試験できる炭素除去ハブ」であり、複数のDAC技術を同時に最適化検証する場として注目される。

GEヴェルノヴァは独自の固体吸着材技術を採用しており、エネルギー効率性を高めるための廃熱利用やシステム統合設計を強みとする。DACは排出源での回収と異なり、大気中の残存排出や航空・海運・重工業など削減が難しい領域に対応可能とされる。

GEヴェルノヴァのDACプログラム責任者ブライアン・モラン氏は「この協業は、スケーラブルでエネルギー効率の高いDACソリューションを前進させる重要な一歩だ」と述べた。

また、同社はニューヨーク州ニスカユナ研究所に年間10トン規模のDAC実証設備を新設済みで、材料性能とシステム信頼性を検証し、商業規模展開の基盤を築いている。

ディープ・スカイのアレックス・ペトレ最高経営責任者(CEO)は「世界で唯一、再生可能電力とCO2貯留まで一貫提供できる実環境拠点であり、GEヴェルノヴァの参入はDACの成長に拍車をかける」と強調した。

両社の協業はカナダ国内にとどまらず、将来的な国際的商業展開を視野に入れた布石とされる。ディープ・スカイは既に1億3,000万ドル(約195億円)の資金調達を完了しており、カーボンクレジット市場向けに高品質な除去・貯留ソリューションを供給する体制を整えている。

参考:https://www.gevernova.com/news/press-releases/ge-vernova-deploy-pioneering-direct-air-capture-technology-deep-sky-alpha-canada

参考:https://www.deepskyclimate.com/blog/ge-vernova-to-deploy-pioneering-direct-air-capture-technology-at-deep-sky-alpha-in-canada