世界34か国の政府は9月23日、ニューヨーク・クライメートウィークで「森林金融行動ロードマップ(Forest Finance Roadmap for Action)」を発表した。ブラジル政府と協力し、国連環境計画(UNEP)の支援を受けて策定された同計画は、年間668億ドル(約10兆円)にのぼる熱帯諸国の森林資金不足を埋めることを目的とする。2030年までに森林減少を止め、逆転させる国際目標の実現を狙う。
ロードマップは、先進国と新興国を含む南北の政府を初めて共通の枠組みで結びつけた。COP30議長国の優先課題やCOP26グラスゴー首脳宣言とも整合し、宣言的な誓約を「投資可能な金融スキーム」に落とし込む点が特徴である。
発表では6つの重点行動が示された。
- 新規金融メカニズムや「Tropical Forests Forever Facility」の創設
- 高信頼の管轄域型森林カーボンクレジットの需要拡大
- 森林バイオエコノミーの加速
- サプライチェーン金融の転換
- 財政政策の整合化
- 森林保全を評価する国債(ソブリン債)活用である。
これらにより2030年までに年数兆ドル規模の資金を動員できると見込む。
実際の動きも広がっている。コスタリカとガイアナはカーボンクレジット収益を自然保護や先住民支援に投じ、ケニアは持続可能な木材建材を拡大中だ。ブラジルは農業融資を気候適応型に転換し、ウルグアイは世界初の森林減少連動型国債を発行した。民間では「ブラジル森林回復・バイオエコノミー金融連合(BRB FC)」が45億ドル(約6,800億円)の投資を約束した。
ロードマップの実行は「森林保全と経済成長は両立可能である」との証左とされる。今後は2025年に開催されるCOP30に向けて、各国が誓約を実際の資金動員へと転換できるかが試金石となる。
参考:https://forestclimateleaders.org/2025/09/23/34-governments-the-forest-finance-roadmap-for-action/