カナダ初の炭素除去(CDR)ダッシュボード公開 「1,100万トン超のCO2除去を計画」可視化で政策形成に追い風

村山 大翔

村山 大翔

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カナダの非営利団体カーボン・リムーバル・カナダは9月15日、国内の炭素除去(CDR)プロジェクトを一元的に追跡できる初のダッシュボード「カーボン・コンソール」を公開した。同ツールは発表済みや計画中の案件を合計で1,100万トン超と算定し、自動車約300万台分、国内全体の3割に相当する排出削減効果を持つ規模であることを示した。

カーボン・リムーバル・カナダのナイーム・マーCHANT事務局長は「カーボン・コンソールは単なる情報板ではなく、カナダが静かにCDRの世界的リーダーとなりつつある証拠だ」と述べ、「しかし実現には政策支援が不可欠であり、計画段階の案件を早期に稼働へ移行させる必要がある」と強調した。

同行の調査によれば、CDR産業が本格的に拡大した場合、2050年までに8万9,000人の雇用を創出し、国内総生産(GDP)に1,400億カナダドル(約15兆円)超を押し上げる可能性がある。

銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)の環境インパクト担当ディレクター、テア・シルバー氏は「実データを集約したカーボン・コンソールは、投資家や政策立案者にとってカナダのネットゼロ移行に向けた意思決定を支援する基盤になる」と指摘した。

同ダッシュボードは、これまで断片的にしか得られなかった企業情報や除去能力、各州の規制環境を統合。ユーザーは州ごとの電源構成や政策進展も含め、リアルタイムで把握できる。政策担当者にとっては、より実証的な気候政策を策定するための重要な情報源となる。

世界的にCDR技術の必要性が高まる中、カナダは情報公開と市場可視化を通じて、国内外の投資や政策形成を後押しする構えだ。年末の国連気候変動会議(COP30)を前に、同国がどこまでリーダーシップを発揮できるか注目される。

参考:https://carbonremoval.ca/canadas-first-carbon-removal-dashboard/