西オーストラリア州環境保護庁(WA EPA)は9月17日、ウッドサイド・エナジー(Woodside Energy)が推進する大型ガス田「ブラウズ」開発に伴う二酸化炭素(CO2)圧入計画について、グリーンピース(Greenpeace)と西豪州自然保護協会(CCWA)からの共同申し立てを受け付け、パブリックコメントの公募手続きに入った。公募期間は7日間で、9月24日に締め切られる。
環境団体は、ウッドサイドが「炭素回収・貯留(CCS)」と称するこの計画を「炭素汚染の海底投棄」と批判。国の海域でCCSを認可した前例はなく、州法・連邦法の双方で高水準の審査が必要だと強調している。
オーストラリア海洋保護協会の化石燃料キャンペーン責任者ルイーズ・モリス氏は、「この危険で高コストの提案を徹底的に審査すべきだ。国際的に見てもCCS海底圧入は失敗例が多く、環境や地域社会、公共財政に甚大な負担を強いてきた」と述べた。
今回の提案には、最大7本のCO2圧入井の掘削と仕上げ、全長約130キロメートルに及ぶ海底パイプライン、付随する海底インフラ、さらに5年ごとの地震探査(漏洩監視)が含まれる。環境団体はこれらが「CO2の漏出や吹き出し、海底構造の変化を引き起こす可能性がある」と懸念を示す。
特にスコットリーフ周辺は、絶滅危惧種のアオウミガメ、固有種のダスキーヘビウミヘビ、ナガスクジラの一種であるピグミーブルーホエールの重要な生息地とされる。環境団体は「繰り返される地震探査やCO2圧入が海洋生態系に即時かつ深刻な影響を与える」と警告している。
ウッドサイドはガス田開発の一環としてCCSを「排出削減対策」と位置づけるが、環境団体はこれを「化石燃料延命策」とみなし、計画そのものの中止を求めている。今後、WA EPAの判断がオーストラリア国内におけるCCSの前例を左右する可能性があり、24日の締め切りが注目される。
参考:https://www.marineconservation.org.au/wa-epa-opens-referral-of-woodsides-browse-basin-dangerous-carbon-pollution-dumping-ccs-plans-for-public-comment/