7月28日、グローバルサウス炭素除去連合(GS CDR)は、EUの気候法に国際的な炭素除去(CDR)を明確に位置づけるよう求める提言を発表した。EUの目標達成に貢献するだけでなく、世界全体でのCDR拡大にもつながると強調している。
GS CDRは、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアなどのグローバルサウス地域でCDR事業を展開する企業が結集した団体で、インドのマティ・カーボン(Mati Carbon)、ブラジルのインプラネット(InPlanet)、ボリビアのエクソマッド・グリーン(Exomad Green)、デンマークのマッシュ・メイクス(MASH Makes)、ケニアのオクタヴィア・カーボン(Octavia Carbon)などが参加している。
提言書では、「国際CDRはEUの自国内の取り組みに代わるものではなく、それを支える補完策である」と述べ、EUの気候政策に正式に組み込むよう求めた。
同連合によると、2022〜2024年の3年間で、グローバルサウスはEUの約4分の1の事業者数でありながら、炭素除去量はEUの約4倍に相当する22万4,786トンを達成した。
こうしたCDRは、岩石風化促進(ERW)、バイオ炭、直接空気回収・貯留(DACCS)といった技術を用い、EUの測定・報告・検証(MRV)や炭素除去認証(CRCF)にも準拠しているという。
また、多くのプロジェクトは「気候変動対策」「飢餓の撲滅」「再生可能エネルギーの普及」といった国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献している。
EUの試算では、2050年までに4億4,700万トンのCO2除去が必要とされており、地球全体では年間70〜90億トンの除去が必要とされている。
GS CDRは、国際CDRの正式な認定がEUとグローバルサウスの協力関係が強化に繋がり、パリ協定第6.4条に基づくCDRクレジットの信頼性も高まり、他国でもCRCFのような制度が広がる可能性があると指摘した。
「EUが国際CDRを認めることで、世界のCDR市場の方向性を主導できる」として、制度への早期統合を求めている。