デンマークの再生型農業企業アグリーナ(Agreena)は9月15日、自社の「アグリーナカーボン・プロジェクト」が、炭素クレジットの国際認証機関ヴェラ(Verra)の「認証炭素基準(Verified Carbon Standard: VCS)」に基づく最新手法VM0042 v2.0の下で検証を完了したと発表した。これにより、世界で初めて大規模な土壌炭素除去(Soil CDR)プロジェクトとしてヴェラ認証を取得し、即時利用可能な炭素クレジット約230万件を発行する。
今回の検証により、プロジェクトは2021〜2023年の活動分について独立審査機関による評価を経て、温室効果ガス削減120万トン、除去110万トンの実績を確認した。対象は英国、デンマーク、ウクライナ、モルドバ、ルーマニア、リトアニア、ラトビア、エストニア、ブルガリア、スペインの農地計160万ヘクタールに及ぶ。
ヴェラのマンディ・ランバロス最高経営責任者(CEO)は「このプロジェクトは、土壌炭素事業がいかに大規模に展開できるかを示す極めて重要な事例だ。適切な手法を導入することで、生成されるクレジットの品質と信頼性が保証される」と述べた。
アグリーナの共同創業者でCEOのサイモン・ハルドルップ氏は「農家こそ気候変動対策の真のヒーローだ。認証済みの炭素クレジットを通じ、彼らの実践を支援し、企業買い手にとっても意義ある投資先となる。世界最大規模の土壌炭素クレジット供給を構築する」と語った。
すでに欧州の複数企業、例えばラディソン・ホテル・グループが購入予約を行っており、今回の発行で高品質クレジットの市場供給が始まる。アグリーナは現在、20か国で450万ヘクタールの農地に広がる再生型農業支援を展開し、衛星データとAIを組み合わせたデジタルMRV(測定・報告・検証)技術でプロジェクトを管理している。
今回のヴェラ認証は、自然を基盤としたCDRが即効性と拡張性を兼ね備えることを示す節目となる。企業のサステナビリティ戦略において、信頼性の高い土壌由来の炭素クレジットが一層注目される可能性が高い。
参考:https://agreena.com/news/agreenacarbon-project-verra-verification/