Meta、Scope3排出100万トン増加も「カーボンクレジット調達」で対応 炭素除去(CDR)由来で品質の向上を目指す

村山 大翔

村山 大翔

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米IT大手メタ(Meta)は9月12日、2025年サステナビリティ報告書を公表した。2024年は事業運営に伴う温室効果ガス(GHG)排出(Scope1,Scope2)を全量カーボンオフセットした一方、Scope3排出は前年比で約100万トン増加した。メタは再生可能エネルギー導入や森林保全型の炭素除去(CDR)由来のカーボンクレジット調達を拡大し、気候変動対策を強化している。

報告書によると、2024年には世界各地で累計15ギガワット超の再生可能エネルギーを調達し、電力消費の100%を再エネとした。また、2017年以来40件超の水源回復プロジェクトを推進し、2024年単年で16億ガロン(約61億リットル)の水を回復した。

カーボンクレジット分野では複数の大型契約を締結した。米森林投資会社EFMとは長期契約を結び、ワシントン州オリンピック半島で6万8,000エーカーの森林を「気候スマート林業」に転換し、2035年までに67万6,000トンのカーボンクレジットを創出する。さらに、ブラジル・セラード地域を含むラテンアメリカでの再植林を進めるBTGパクチュアル・ティンバーランド投資グループ(TIG)とも契約を結び、2038年までに最大390万トンのカーボンクレジットを調達予定である。

加えて、メタはグーグル(Google)やマイクロソフト(Microsoft)などと共に「シンビオシス・コアリション(Symbiosis Coalition)」に参加し、2030年までに最大2,000万トンの自然由来のカーボンクレジット創出を目指す。第1回の入札ではARRやアグロフォレストリー(森林農業)プロジェクトを対象とし、高品質の基準を示す案件が選定された。

また、先住民族主体の森林保全にも投資している。米国ミネソタ州でナガジワナング居留地を守るファンド・デュ・ラック・バンド(Fon du Lac Band)と連携し、初めてのカーボンクレジットを契約。先住民族の知恵や土地管理手法を生かした取り組みとして注目される。

報告書では「企業がカーボンクレジットなど市場メカニズムにアクセスできる確実性を高めることが、低炭素経済への移行に不可欠だ」と強調している。Scope3削減の遅れが課題となる一方、メタは大規模なカーボンクレジット調達を通じて、サプライチェーン全体での脱炭素化を加速させる考えである。

参考:https://sustainability.atmeta.com/blog/2025/09/12/meta-launches-2025-sustainability-report/