Science Based Targets initiative (SBTi) の理事会宛に、H&Mはカーボンクレジットに関する最近の声明について懸念を表明しました。
H&Mは「特に、企業のバリューチェーン外での自発的なカーボンマーケットを利用したスコープ3の削減方法、いわゆるオフセットについて懸念を示している。我々は、どの気候戦略においても最優先すべきは、バリューチェーン内での絶対的な温室効果ガス(GHG)排出削減であると確信しています。」としており、大きく二つの懸念点をあげました。
第一に、SBTi目標へのカーボンクレジット利用は、バリューチェーン内での実際の脱炭素化努力の価値を低減してしまう可能性です。カーボンクレジットの活用を認めることで、脱炭素への投資とイノベーションが抑制される恐れを指摘しています。例えば、工場の電化や再生可能エネルギー開発は、カーボンクレジットよりも費用がかかり複雑であるため、カーボンクレジットを認めるとそのような活動への投資が行われなくなることを強調しています。
第二に、透明で独立した科学に基づく基準を持つガバナンス構造から逸脱することは、実際の気候行動にとって基本的な原則を損なうことになると指摘しています。
一方で、企業のバリューチェーン内でのカーボンクレジットを認める機会もあると考えているとし、しきい値および原則を定義することで、バリューチェーン内の実際の脱炭素化を大幅に加速させることへの期待を示しています。
H&Mは、SBTiに深くコミットしていることもあり、SBTiの役割を評価しています。それを踏まえた上で今後、この複雑な問題にどのように対処するかを見守り、科学に基づく目標設定へのコミットメントを維持することを期待するとし、SBTiと対話を行う姿勢を表明しています。
H&M Group
To the Science Based Targets initiative Board of trustees,