米EliminiとデンマークHOFORがコペンハーゲンでバイオエネルギー由来のCO2回収・貯留(BECCS)施設を共同開発

村山 大翔

村山 大翔

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米炭素除去(CDR)スタートアップのエリミニ(Elimini)と、デンマークの公共ユーティリティ、ホーフォア(HOFOR)は、コペンハーゲン市内の発電所「アマービアヴァルケット第4号機(AMV4)」にバイオエネルギー由来のCO2回収・貯留(BECCS)技術を導入する共同開発契約を締結した。今後、再生可能エネルギーを供給しながら、高品質なカーボンクレジットを生み出す施設への転換を目指し、共同事業体の設立も検討する。

対象施設となるアマービアヴァルケットは、バイオマスを燃料に、コペンハーゲンの地域暖房の25%にあたる年間9,900テラジュールの熱と、670GWhの電力を供給している。デンマーク国内でも最大級のバイオマス由来CO2排出源であり、BECCS導入によって年間数十万トン規模のCO2除去が期待されている。

ホーフォアは、持続可能性が認証された木質ペレットやチップを調達する燃料供給網をすでに構築しており、これがBECCS導入に向けた重要な基盤となっている。

本プロジェクトは、デンマーク政府が設けた42億ドル(約6,700億円)のCCS(炭素回収・貯留)補助制度における、10の優先支援対象のひとつに選ばれている。これにより、技術開発からインフラ整備までの費用支援が見込まれている。

エリミニは、欧州初のBECCSパイロットを成功させた実績を持つ。今回の協業では、施設設計や導入支援に加え、生成されるカーボンクレジットの販売戦略を担う。

エリミニのロス・マッケンジー上級副社長は「信頼性の高い除去クレジットを生み出すBECCSモデルで、炭素除去市場の成長を加速させる」と述べた。

ホーフォアRのゴーム・エリコファーCOOも「コペンハーゲンの気候ポジティブ目標実現に向けた重要な一歩」と語っている。

本プロジェクトの成功は、デンマーク国内のみならず、欧州全体でのBECCS拡大にも影響を与える可能性がある。両社は今後、共同出資による事業会社の設立を含め、さらなる展開を協議していく。

参考:https://elimini.com/news/HOFOR-and-Elimini-Announcement