7月30日、英国の非営利団体ソーシャル・カーボン財団は、新しい環境認証基準「Nature³(ネイチャー・キューブ)」を発表した。この新基準は、カーボンオフセットとカーボンインセット、自然保護の3つを一つにまとめたもので、企業や自治体が信頼できる環境対策を示すための新しい選択肢となる。
ロンドンに本部を置くソーシャル・カーボン財団は、20年以上の認証運営の経験をもとに、より現代のニーズに合った「Nature³」を開発した。科学者や政策専門家、先住民族グループなど、世界中の多様な関係者との議論を経て作られたこの基準は、気候変動対策だけでなく、生物多様性の保全や地域社会の支援も重視している。
「Nature³」には次のような特徴がある。
- 一体型の設計
- オフセット(排出量の相殺)とインセット(自社サプライチェーン内の削減)、自然保護を1つの枠組みで扱う。
- 柔軟な構成
- さまざまなタイプのプロジェクトや地域に合わせてカスタマイズ可能。
- 科学的に信頼性が高い
- 同時に現場の状況に柔軟に対応できる。
- 国際的に互換性あり
- カーボンや生物多様性の評価方法と連動可能。
マイク・デイビスCEOは「Nature³は単なる認証を超えた、持続可能な自然再生のためのツールだ」と語った。
この新しい基準は、企業がオフセットだけでなく、自社の活動に直接つながるインセットにも取り組みながら、自然保全や地域貢献を同時に実現することを可能にする。特に、サプライチェーン全体での排出削減が求められる日本企業にとっても、Scope3対策の一環として活用が期待される。
今後は、国際的なカーボンクレジット市場や「自然関連財務情報開示(TNFD)」といった枠組みとも連携しながら、より多くの企業や投資家の信頼を得る仕組みとして拡大していく見通しだ。