【経産省検討会要約】第4回 DACワーキンググループ

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5月17日、GX投資促進室はDAC(Direct Air Capture)ロードマップの策定に向けた論点整理を発表しました。DACは大気中のCO2を直接回収する技術であり、カーボンクレジット市場において重要な役割を果たすことが期待されています。今回は、このロードマップ策定に向けた主要な論点と各国の取り組みについて要約します。

DACロードマップ策定の必要性

これまで、ワーキンググループにおいてDACの算定方法論を中心に議論が進められてきました。今後の取り組みとしては、DAC産業の将来像を描き、民間投資を促進するための具体的な方向性を示すことが求められています。

国際的な取り組み

米国、EU、英国などでは、DACを含む炭素除去技術(CDR)のシナリオやロードマップが提示されています。例えば、米国では「Carbon Negative Shot」として、2050年までに毎年10億トンのCO2回収が必要とされており、EUや英国でも類似の目標が設定されています。これに伴い、各国ではDACへの投資が急速に進んでいます。

民間企業の動向

民間企業によるDACへの投資も活発化しています。例えば、スイスのClimeworksは15年間で8万トンの炭素除去契約を締結し、米国のOccidentalはカナダのCarbon Engineeringを11億ドルで買収しました。これらの動きは、将来的なカーボンクレジットの需要増加を見越した先行投資といえます。

スタートアップの役割

海外では多くのDACスタートアップが誕生し、政府支援の下で研究開発や実証プロジェクトが進められています。例えば、米国の企業が独自の「ハイブリッドDAC」システムを開発し、エネルギー消費を大幅に削減する技術を提供しています。これらのスタートアップは、迅速な意思決定と機動的なビジネス展開により、DACの社会実装において重要な役割を果たしています。

日本国内の取り組み

国内では、J-クレジット制度の対象拡大が検討されています。現在、DACやBECCSなどの炭素除去技術はJ-クレジットの評価対象外ですが、これを積極的に推進するための議論が進められています。また、GXリーグにおける排出量取引制度(GX-ETS)でも、炭素除去クレジットの適格性についての基準が設定され、将来のNDC(Nationally Determined Contributions)達成に向けた取り組みが進行中です。

今後の展望

2030年にはDACによる年間9000万トン、2050年には9.8億トンのCO2回収が必要とされる見込みです。これに伴い、DAC市場の規模は2030年に126億ドル、2050年には2450億ドルに達すると予測されています。日本国内においても、再生可能エネルギーやCCS技術の活用を図り、国際市場と連携してDACの実装を進めることが重要です。

GX投資促進室は、今後も議論を進め、具体的なロードマップを策定する予定です。これにより、カーボンクレジット市場における日本の競争力を強化し、脱炭素社会の実現に貢献することが期待されています。

経済産業省

第4回 DACワーキンググループ