7月31日、イギリス・シェフィールドのスタートアップ、アース・フォー・アース(earth4Earth)が、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収して固める新しいレンガを発表した。このレンガは、建設現場の土を再利用し、独自に開発した環境に優しいバインダー(接着材)を使って作られている。CO2を固定することで、建物そのものを「炭素をためる箱」に変える画期的な技術だ。
アース・フォー・アースのレンガは、空気から直接CO2を吸い取り、石のように固めて閉じ込める直接空気回収(DAC)の技術を活用している。これにより、建物に使われるだけでCO2を減らす効果が期待される。
材料には、建設工事で出た掘削土を使い、それに「e4Eバインダー」という独自開発の接着材を混ぜてレンガを成形する。通常のバインダーは製造時に高温処理が必要で、大量のCO2を排出するが、e4Eバインダーは常温で作れる新しい方法を採用している。
この方法では、バインダーを作る過程で出るCO2も、そのまま固体の形で封じ込められるため、空気中に放出されない。共同創業者のセオドア・ハネイン教授は、「この技術で建設業の脱炭素化が進み、地球環境の改善に貢献できる」と語っている。
このレンガは耐久性があり、寿命を迎えた後は砕いて再利用したり、農地に戻して土壌改良材として使うこともできる。固まったCO2はそのまま残るため、再び空気中に戻ることはない。
製品ラインアップには、バインダーの量に応じてCO2の吸収量が異なる「N10」「N20」「N30」の3種類がある。また、従来の石灰を使った「L10」や、バインダーを含まない「L0」も用意されている。
この技術は、中国の伝統的な土の建物「福建土楼(フージェン・トゥーロウ)」にヒントを得て開発された。現在は中国・武漢の工場で生産されているが、2026年にはイギリス国内での製造も始まり、30人以上の新規雇用が見込まれている。
共同創業者のレイ・チャン氏は、「今後もe4Eバインダーを使ったさまざまな建材を開発していきたい。建設業のCO2削減に本気で取り組む企業と連携して、この技術を広げていきたい」と話している。
参考:https://earth4earth.co.uk/news-3/f/press-release-carbon-capture-bricks-launched-by-earth4earth