日本政府は、カーボンニュートラル(CN)目標を実現するために「成長志向型カーボンプライシング構想」を策定し、排出量取引制度の導入に向けた取り組みを進めています。この構想は、カーボンニュートラルに向けた大規模な投資を促進し、経済成長と産業競争力の強化を目指しています。
2023年度にはGXリーグでの排出量取引の試行が始まり、2026年度には本格稼働が予定されています。さらに、2028年度には化石燃料賦課金の導入、2033年度には有償オークションの導入が計画されています。これらの措置は、企業のGX投資を促進し、脱炭素製品や技術が国内外で高く評価される市場環境を整備することを目的としています。
このような取り組みは、EUや韓国、米国などの先進国の事例を参考にしています。EUの排出量取引制度(EU-ETS)は、2005年に導入され、現在第4フェーズに入っています。韓国の排出量取引制度(K-ETS)は2015年に導入され、現在第3計画期間中です。米国では、インフレ削減法を通じて大規模な投資支援が行われています。
日本もこれらの先進国の取り組みを参考にしつつ、独自のカーボンクレジット市場を発展させています。J-クレジット制度では、日本国内の排出削減・吸収の取組をクレジットとして認証し、省エネ・低炭素投資を促進しています。2023年10月に東証でカーボン・クレジット市場が開設され、現在までに約28万トン、総額7.3億円の取引が行われています。
これからも日本は、GX投資を促進し、カーボンニュートラルに向けた取り組みを強化していく予定です。政府の政策と企業の積極的な参加が相まって、カーボンクレジット市場はさらに活発化し、持続可能な経済成長と環境保護の両立が期待されます。
経済産業省
第1回 GX実現に向けた排出量取引制度の検討に資する法的課題研究会