Mast Reforestation、火災で枯死した木を地下に封じ込め モンタナでBiCRSプロジェクト完了

村山 大翔

村山 大翔

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米シアトルの森林再生企業マスト・リフォレスタレーション(Mast Reforestation)は9月9日、モンタナ州で実施していた炭素貯留プロジェクト「Mast Wood Preserve MT1」が完了したと発表した。山火事で枯れた木材約1,000万ポンド(約4,500トン)を地下に埋め、少なくとも100年間は分解を防いで二酸化炭素(CO2)を固定する仕組みだ。4カ月で埋設作業を終え、現在はガス漏出がないかを監視する段階に入っている。

この方法は、バイオマス炭素除去・貯留(BiCRS)と呼ばれ、焼却処理によるCO2排出を防ぎつつ、大気中から炭素を取り除いたと認定される、炭素除去(CDR)由来のカーボンクレジットを生み出す。

このプロジェクトは、英ビーゼロ(BeZero)から信頼性の高い「A pre」格付けを取得。2026年初めまでに最大5,000トン分のカーボンクレジットを発行する予定で、既にシーザー(CEEZER)やクローバリー(Cloverly)の取引プラットフォームで先行販売が始まっている。売上は被災地の植林事業に充てられる。

マストは自社が運営する苗木会社シルバシード(Silvaseed)とカル・フォレスト(Cal Forest Nurseries)で現地の種子を育てており、2026年春に植林を開始する計画だ。グラント・キャナリーCEOは「MT1は長期的な炭素貯留に加え、再び森を育てる効果もある。火災被害が拡大する中で、この仕組みは再生を加速させる」と語った。

同社によると、モンタナ州には火災で枯れた木が約280万トン残されており、今後も同様のプロジェクトを広げていく方針だ。カーボンクレジットによる収益は、従来の補助金や寄付金だけでは不足する再植林資金を補う「持続可能な仕組み」とされている。

参考:https://www.mastreforest.com/news/mast-reforestation-completes-innovative-post-fire-carbon-removal-project-with-biomass-burial-bicrs-in-montana