オーストラリアで250億円規模の土壌炭素プロジェクト始動 高品質カーボンクレジットを長期確保

村山 大翔

村山 大翔

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リオ・ティント(Rio Tinto)は9月8日、豪州で新設された持続可能農業とカーボンクレジット生成を両立する投資プラットフォーム「メルドラ(Meldora)」に創設時から参画し、豪州カーボンクレジット(ACCUs)の基礎的オフテイカーとなることが明らかになった。事業規模は2億5,000万豪ドル(約265億円)にのぼり、カナダ系投資会社ラ・ケス(La Caisse)が2億豪ドル(約212億円)、豪州政府系のクリーンエネルギー・ファイナンス公社(CEFC)が5,000万豪ドル(約53億円)を出資する。

メルドラはガン・アグリ・パートナーズ(Gunn Agri Partners)が運営し、初弾としてクイーンズランド州中央部に位置する1万5,000ヘクタール規模の大規模農地を取得した。同事業は農業生産を維持しつつ、ACCUsスキームに基づく「環境植林」を組み合わせ、炭素隔離と生物多様性回復を長期的に進める。植林は25年から最長100年にわたり維持される計画だ。

ラ・ケスのインフラ・サステナビリティ担当副社長エマニュエル・ジャクロ氏は「CEFCやGAPに加え、リオ・ティントがオフテイカーとして加わることで、このプラットフォームの拡張性に対する自信を強めた。持続可能な土地利用とネットゼロへの道筋を具体化する投資だ」と述べた。

CEFCのナチュラルキャピタル部門責任者ヒーチュン・ソン氏も「リオ・ティントの早期参画は、高い透明性を備えたカーボンクレジットに対する需要の拡大を示している」と指摘した。

運営を担うGAPの共同マネージングディレクター、ブラッドリー・ウィートン氏は「農業収益とカーボンクレジットを統合するモデルは、未来の農業の姿を再定義するものだ」と強調した。

今回の投資は、世界的に注目が高まるカーボンファーミングを資産クラスとして確立する狙いもあり、豪州農業における自然資本戦略を強化する試金石となる。

参考:https://www.lacaisse.com/en/news/pressreleases/cefc-caisse-launch-250m-australian-ag-carbon-platform-rio-tinto-signs-offtaker