ストックホルム発のクライメートテック企業プランブー(Planboo)は9月、世界最大のコットンサステナビリティイニシアチブであるベター・コットン(Better Cotton、会員農家数約220万戸、世界の綿花農家の22%)と提携し、農業残渣を活用したバイオ炭の導入を拡大すると発表した。インドの綿花主要生産州マハラシュトラ州やグジャラート州で来年初頭にパイロット事業を開始する。
今回の取り組みでは、農家がコットン茎などの残渣を炭化し、土壌へ還元するプロセスを支援する。これにより大気中のCO2を除去しつつ、土壌の保水性や肥沃度を高め、気候変動による異常気象に対する耐性を強化する狙いだ。さらに、プランブーのdMRV技術「MRVin」で炭化から施用までの工程を追跡し、検証済みのカーボンクレジット(CDRクレジット)として取引可能にする。農家は環境負荷低減と同時に新たな収入源を得られる。
ベター・コットンの小売・ブランド会員にとっては、バイオ炭を活用したインセッティング(自社サプライチェーン内での排出削減)モデルの実証機会となる。これにより、Scope3排出の削減や、SBTi FLAG(森林・土地・農業分野に特化した科学的削減目標)の達成に向けた貢献が期待される。
ベター・コットンのインパクト担当ディレクター、ラース・ファン・ドレマーレン氏は「廃棄物から価値を生み、土地の気候レジリエンスを高める古くて新しい技術だ。持続可能性への努力を農家が経済的に報われる仕組みにできる」と述べた。
また、プランブーの共同創業者兼CEO、フレディ・キャトロー氏は「ザンビアでの連携事業で綿花収量が60%増加した実績を踏まえ、世界のサプライチェーンに拡大できるモデルだと確信している」と語った。
両者の協業は、再生型農業を基盤にしながら、ソフトウェアによるスケールアップを通じて綿花産業の脱炭素化を加速させる試みであり、日本を含むファッション業界におけるScope3排出削減策の注目事例となりそうだ。
参考:https://planboo.eco/better-cotton-and-planboo-partner-to-expand-biochar-in-cotton-supply-chains/