国内初 「カーボンオフセット鉄筋」を建物に採用 大林組、清瀬市研究所で実証

村山 大翔

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大林組は9月2日、鉄筋製造時に排出されるCO2をカーボンオフセットした鉄筋を、東京都清瀬市の大林組技術研究所で建設中の実験棟「オープンラボ3(OL3)」に初めて採用したと発表した。建物での使用は国内初となる。

採用されたのは東京鉄鋼が開発したCO2削減鉄筋「タンカロン」で、今回のOL3第2期工区の基礎配筋に導入された。同製品は、廃プラスチックなどを無酸素加熱処理するリサイクル技術で削減したCO2量を、鉄筋製造時の排出量に割り当てる仕組みを持つ。結果として製造段階での排出量を100%相殺し、実質的にゼロとした。

建設分野では、鉄筋やコンクリートといった基幹資材の製造過程がCO2多排出源となっており、脱炭素化の課題とされてきた。今回の事例は、建材のライフサイクルにおけるカーボンクレジット活用の実証例として位置づけられる。東京鉄鋼によると、炭化処理で生成される粉体カーボンは鉄筋製造時のコークス代替としても利用可能で、資源循環の観点からも利点がある。

大林組は「資材調達から施工までの過程で排出削減に取り組み、グループの長期目標『Obayashi Sustainability Vision 2050』で掲げる脱炭素社会の実現に貢献する」としている。

今後は、同鉄筋の適用範囲拡大や他の建設資材への展開が注目される。建材分野でのカーボンクレジット利用は、建設業界全体の排出削減戦略の中で重要性を増すとみられる。

参考:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20250902_2.html