ルワンダが「シンガポール向けカーボンクレジット販売計画」を加速 国際排出権取引の新潮流

村山 大翔

村山 大翔

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ルワンダ開発庁は8月27日、中国系カーボンファイナンス企業クライメート・ブリッジ・グループ(Climate Bridge Group)の出資を受けたベンチャー企業と連携し、シンガポール向けにカーボンクレジットを販売する計画を進めると発表した。これは国連パリ協定に基づく「第6条2項(Article 6.2)」の国際炭素市場メカニズムを活用したもので、今後12か月以内に最初の投資案件が実行される見通しだ。

シンガポールは年間約4,900万トンのCO2を排出しており、世界で57番目の排出国とされる。一方、ルワンダの排出量は約150万トンにとどまる。シンガポールは既にパプアニューギニア、ガーナ、ブータン、ペルー、チリとも同様の協定を結んでおり、排出削減努力を途上国のクレジット購入で補完する姿勢を鮮明にしている。

ルワンダ西部のキブ湖では、湖底に大量に存在するメタンを回収して発電に活用する事業も進んでおり、同国のクレジット供給源として注目される可能性がある。

今回の合意について、ルワンダ開発庁は「持続可能な開発と国際市場へのアクセスを両立する機会になる」と強調した。シンガポール側にとっては、国際的な排出削減義務の達成を低コストで進める手段となる一方、ルワンダにとっては外貨収入の確保と環境インフラ投資の呼び水になる。

国際炭素市場は、各国が自主的削減目標(NDC)を履行するうえで重要性を増している。今回のルワンダとシンガポールの協定は、アフリカ諸国が国際排出権取引に本格参入する転機ともなり、今後の市場拡大に波及効果を及ぼす可能性が高い。

参考:https://www.environment.gov.rw/news-detail/rwanda-and-singapore-sign-implementation-agreement-under-article-6-of-the-paris-agreement