ユンフォン・フィナンシャル・グループ(雲鋒金融集団有限公司)とマカオ国際炭素排出権取引所(MEX)は8月29日、カーボンクレジット取引データを全面的にブロックチェーン上に移行し、「カーボントレーディング・ブロックチェーン」構想を正式に始動したと発表した。これまでに1,000,000トン超のカーボンクレジットと200,000件のグリーン電力証書を対象とし、次世代のWeb3型カーボン取引基盤の構築を目指す。
今回の取り組みは、ユンフォン・キャピタルと共同出資するMEXが主導し、ユンフォン・ファイナンシャルのブロックチェーンチームが技術開発を担った。従来型のカーボン取引市場や再エネ証書市場を補完する形で、グローバルなグリーン資産市場の基盤整備を進める狙いだ。
MEXはこれまでに、ブラジル林業グループ、国泰君安証券、三菱電機(中国)、中国建材緑色能源(CNBM Green Energy)などを顧客とし、累計で1,000,000トン以上のカーボンクレジットと200,000件の証書を仲介してきた。
世界のカーボンクレジット市場は現在、品質を巡る信頼性の危機に直面している。グリーンウォッシングや二重計上が横行し、プロジェクトの追加性や真正性に疑念が生じている。さらに基準の不統一や情報の不透明性が重なり、高品質プロジェクトの価値が適切に評価されにくい状況にある。その結果、投資家はレピュテーションリスクや高コストの検証負担を抱え、市場の拡大を妨げている。
ユンフォンとMEXが推進する「カーボントレーディング・ブロックチェーン」は、こうした課題への直接的な解決策とされる。各クレジットにライフサイクルを通じた固有のデジタルIDを付与し、発行から取引、償却に至るまで全工程をチェーン上で記録することで、完全な透明性と追跡可能性を確保する。これにより、現実の炭素削減価値とデジタル属性を統合し、国際資本と高品質プロジェクトの接続を円滑化する仕組みを構築する。
ユンフォン・ファイナンシャルとユンフォン・キャピタルは今後もMEXを通じて、国際パートナーと連携しながらグリーン資産のデジタル基準策定や業界標準化を推進する方針だ。MEXは声明で「Web3が産業エコシステムを再編する中、信頼できるカーボン市場の構築に多様な主体の参加を呼びかけたい」と強調した。