シンガポールがガーナと「炭素市場協定」 農業・CDR分野で4百万クレジット創出へ

村山 大翔

村山 大翔

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ガーナ共和国大統領府は8月27日、シンガポールとガーナが持続可能な開発と付加価値型農業の推進で協力を深めると発表した。両国は、カーボンクレジット市場を基盤とした投資協力を強化し、農産物加工や雇用創出とあわせて二国間パートナーシップを拡大する方針だ。

シンガポールのターマン・シャンムガラトナム大統領は同日、ガーナのジョン・ドラマニ・マハマ大統領との会談後、「シンガポールはガーナと炭素クレジット協定を実施するアジア初の国であり、ガーナにとってもアフリカ初の協定だ」と述べた。協定は低炭素成長へ向けた投資呼び込みの「プラットフォーム」になると強調した。

両国は今後、バイオ炭調理用コンロや水浄化装置などのネイチャーベースド・ソリューションを活用し、最大400万件規模のカーボンクレジット創出を目標とする。ガーナ国内では3社の地元企業とシンガポール企業が連携し、農村部の生活改善と炭素除去(CDR)の両立を図る。

マハマ大統領は「雇用課題の克服には農業分野が大きな可能性を持つ。我々のリセット・アジェンダの一環として重点を置いている」と述べ、農業とサービス産業の双方向け強化を通じた雇用拡大を掲げた。また、ボルタ川流域に約200万ヘクタールの土地があり、農産加工パークや灌漑地開発に活用できると説明した。

さらにマハマ氏は、デジタル経済を「若年層の迅速な雇用創出源」と位置づけ、伝統的雇用市場に比べて「1つの職を生む前に5つの雇用が生まれる」と強調した。

ターマン大統領は、雇用課題に共感を示した上で「中小企業(SMEs)の成長を後押ししつつ、グリーンプロジェクトと農産業の開発を支援する」と語った。

両国は今回の合意を、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を軸とするガーナの経済戦略や、シンガポールの独立60周年の節目と結びつけて位置づけている。ガーナ政府は「経済の安定化から、持続的で雇用を生む成長への転換を目指す」と説明し、その柱にグリーンファイナンスと炭素市場を据えた。

参考:https://presidency.gov.gh/singapore-ghana-to-deepen-green-and-agribusiness-partnership/

参考:https://presidency.gov.gh/ghana-singapore-push-cross-border-payments-and-sme-ties-as-mahama-hails-stabilising-economy/