カリフォルニアとケベック 温室効果ガス枠オークションで反発 「通貨換算の影響」強調

村山 大翔

村山 大翔

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北米の排出量取引市場であるカリフォルニア州とカナダ・ケベック州の共同排出枠オークションが8月20日に実施され、2025年第3四半期の落札価格が前回から反発した。排出量取引制度を監督する両当局は、清算価格の正当性を確認し、違反行為はなかったと報告した。オークション収入は米ドルとカナダドルの為替変動を経たうえで、9月17日までに各政府へ分配される。

今回のオークションでは、2025年排出枠(現行枠)と2028年排出枠(先渡し枠)が取引対象となった。市場監視機関は「入札と清算は規則に沿って行われ、経済的にも合理的である」と指摘し、入札保証や通信セキュリティに問題はなかったと結論づけた。

オークション収入は、落札価格と販売枠数の積に必ずしも一致しない。落札者は米ドルまたはカナダドルで支払うため、金融機関が為替市場で両通貨を交換してから各当局に送金する仕組みだ。カリフォルニアは米ドル、ケベックはカナダドルでのみ収入を受け取る規定であり、為替レート次第で各政府の最終的な収入額は変動する。

一方、カリフォルニア大気資源局(CARB)が発行するカーボン・オフセット(CCO)は前回から半減し、特に炭鉱メタン削減プロジェクトの発行が依然高水準で続いている。供給減少は排出権市場に直接影響を与えるため、今後の価格動向に注目が集まる。

参考:https://ww2.arb.ca.gov/our-work/programs/cap-and-trade-program/auction-information/auction-notices-and-reports