花き業界で初の高機能バイオ炭活用 「宙炭」で脱炭素と持続可能な生産を推進

村山 大翔

村山 大翔

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株式会社TOWINGと株式会社日比谷花壇は8月8日、花き業界における持続可能な生産体制の構築を目指し、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の導入で業務提携を結んだ。非食用農業分野での「宙炭」活用は初めてとなる。両社は花きサプライチェーン全体で温室効果ガス(GHG)削減と炭素貯留を進め、カーボンニュートラルの実現を目指す。

今回の提携により、日比谷花壇グループの卸部門であるフレネットHIBIYAを通じて、「宙炭」が全国の花き生産者に提供される。宙炭を活用した持続可能な栽培で生産された切り花は、日比谷花壇の店舗で販売される予定だ。

宙炭は、TOWINGの独自技術であるバイオ炭前処理と微生物培養に加え、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の技術を組み合わせた農業資材である。土壌を豊かにし、化学肥料の使用を削減することで有機転換を促進するほか、農地における炭素固定を通じて温室効果ガス排出を削減する。これにより花き産業の環境負荷を軽減し、生産者の経営効率向上にも寄与する。

日比谷花壇は2024年、国産花き需要拡大推進協議会で「well-blooming project」を始動させるなど、花き業界の環境課題に対応してきた。2025年7月には花き業界で初めてエコステージ認証を取得し、新たな環境方針を発表している。今回の宙炭導入は、こうした持続可能性強化の一環と位置づけられる。

日比谷花壇執行役員でフレネットHIBIYA社長の緒方優夫は「環境に配慮した生産を求める生産者の声に応えるソリューションとして宙炭を普及させたい」と述べた。TOWINGの西田宏平CEOも「花き業界で宙炭を本格的に活用いただけることは大きな一歩だ。日本農業全体の持続可能性向上に貢献していきたい」と語った。

国産花きは気候変動や生産者減少の影響で生産量が落ち込み、作付面積はピーク時の半分に縮小している。宙炭の普及は、こうした課題に直面する生産者の支援策であると同時に、花き文化全体の持続可能性を高める取り組みとして注目される。

両社は今後、花きサプライチェーンにおける脱炭素化を進め、2025年内にも宙炭を利用した切り花の本格販売を開始する見通しだ。

参考:https://hibiya.co.jp/news/post20250822_1/

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000081010.html