米国の炭素回収企業IONクリーン・エナジー(ION)は8月21日、天然ガス火力や分散型産業施設など小規模排出源に対応する新型モジュール式CO2回収装置「ICE Blocks(アイス・ブロックス)」を発表した。従来の大規模システムに加え、より幅広い現場での導入を狙う。同装置は炭素クレジット市場の拡大に直結する技術として注目される。
ICE Blocksは、回収設備本体、ガス導管、CO2の圧縮・脱水、溶剤タンクまでを一体化した自立型ユニットで構成される。利用者は追加モジュールを組み合わせることで、必要に応じた設備構成が可能となる。
IONのティム・ヴェイル最高経営責任者(CEO)は「高性能溶剤ICE-31を活用し、即時に導入可能な革新的モジュール型ソリューションを実現した」と述べ、「小規模な排出源に対しても、安全かつ迅速に設置できる包括的な回収パッケージだ」と強調した。
設計は米テキサス州のエンジニアリング企業モジュラー・プラント・ソリューションズ(Modular Plant Solutions、MPS)が担当した。MPSのラッセル・ヒレンバーグCEOは「モジュール化設計により、ICE Blocksはトラック、鉄道、船舶で輸送でき、世界中の多様な施設に展開できる」と述べた。
IONは2008年にコロラド州ボルダーで創業し、95%以上のCO2を高効率で回収できる独自吸収液技術を開発してきた。同社は大規模排出源向けの技術で既に実績を持つが、今回のICE Blocksにより地方都市や中小規模の産業拠点など、これまで導入が難しかった施設にも市場を拡大する。
背景には、各国でのカーボンクレジット需要の急拡大がある。分散型のCO2回収が進めば、電力・産業分野に加え物流・地域熱供給など幅広い領域でのクレジット創出が可能となる。
ICE Blocksは今後、複数サイズで商用展開される予定で、IONは「より多くのCO2を早期に捕捉することを目指す」としている。導入開始時期や価格体系の詳細は今秋に発表される見込みである。